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團十郎事典 ら行
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ろ: 六弥太格子 ろくやたごうし
六弥太格子<ろくやたごうし>

 あるデパートの売場責任者曰く。
 「この柄でスカーフを創りましたら、皆様パリの新デザインと信じていらっしゃいまして」
 三升つなぎを格子風にしたこの模様は、今見ても実にモダンである。
 130年前の河原崎座で、八代目團十郎が『一谷武者直土産<いちのたにむしゃえのいえずと>』で使い、役者の人気も加えて爆発的に流行したと聞いたら現代の御婦人連は何と思うだろう。岡部六弥太<おかべのろくやた>役の衣裳だったので、この名がつけられた。

※昭和60年1月発行 演劇出版社『演劇界増刊 市川團十郎』より転載。
編:藤巻透、イラスト:椙村嘉一

(昭和60年十二代團十郎襲名当時の記事ですので、若干時間を経てしまった内容もありますが、
極力当時のままの文章で載せさせていただきました。
転載をご快諾下さいました関係者の方々に、この場をお借りいたしまして厚く御礼申し上げます。)